photo credit: Radio Broedplaats @LVP BAR / wot nxt

アップルが予定しているインターネットラジオサービスについて大きな進展があったと報道されています。
これにより、今月予定されているWWDC 2013での発表が予想されます。

NYTimes : Apple Is Said to Be Pressing for Internet Radio Deals
CNET : Apple reaches iRadio deal with Warner Music, suggesting WWDC launch

アップルがサービスよ予定しているインターネットラジオについては昨年夏頃より噂になっているサービス。
アメリカでは若年層を中心にダウンロードからストリーミングに移行していると言われています。

通常のラジオ同様に視聴者は無料で、広告収入を軸としたサービスになる見込みのようです。
ほぼ1年にわたってアップルとレコード各社の合意に到れなかった理由はライセンス料について。
特に広告収入の分配率、最低保証額、広告収入の分配開始時期についてと見られています。

これらについてワーナーミュージックとのあいだで今月、基本合意が得られたようです。
ユニバーサルミュージックとはすでに契約がされており、現在はソニーミュージックとの調整中とのこと。
ユニバーサル、ワーナー、ソニー。
日本の出版社で言えば、講談社と小学館と集英社って感じでしょうか。
アップルのブランド力はまだまだ衰えていないということですかね。

iTunesとネットラジオの違いは『無料』そして『ストリーミング』

ところで、このインターネットラジオサービス。
既存のiTunesとの違いは、ダウンロードの可否がいちばん大きな違いです。
radiko.jpなども同様ですが、ネットラジオの場合は基本的にダウンロードができません。
そのタイミングで配信（ストリーミング）されている音楽を楽しむことになります。

アップルが提供するネットラジオはここからさらに一歩進んだ内容になると予想されています。
類似のサービスとしては『Pandora Media』に近いものになるのかな？
視聴者の嗜好に合わせた音楽をセレクトして配信するサービスが『Pandora Media』
iTunesではすでに『ジーニアス』で同様の機能を提供しています。
これを発展させた形になるのでしょうか？

音楽の小売業では古くからキュレーション的なスタイルが確立されてきました。
『バイヤー』と呼ばれる人たちが選び、提案し、販売するスタイルですね。
小売店が少なくなってきた現在でも、規模は小さいながらも同様のスタイルで営業する店はあります。
これをネットの中で、しかも実際にユーザーがよく聴いてる曲をベースにセレクトしたら。
ピンポイントで訴求する、とても強い販促効果が期待できると思います。

なぜ無料配信に踏み込んでくるのか？

アップルは1つの機能を新しいサービスに連動させるのがとても上手いと思うんですよね。
技術的にはなにも難しいことはしていないけど、それの扱い方がとても上手。
ネットラジオ自体もすでに珍しくないメディアですが、アップルはそれをどう扱ってくるのか。

アップルは現時点で音楽コンテンツについて世界最大の小売業者として地位を固めています。
それがなぜ、無料の配信サービスに踏み込んできたのか。
ひとつは無料配信によって購買層を掘り起こし、iTunesのダウンロード販売に繋げたいからでしょう。
『Pandora Media』もダウンロードはiTunesにリンクしています。
そしてもうひとつは圧倒的販売台数を誇る『iPhone』『iPod touch』『iPad』の存在。
無料であればこそユーザー数は増え、広告収入だけであっても十分に得られるはずです。
　
　
日本のユーザーが気になるのは、サービス提供されるのか、遅れるのか、それとも見送られるのか。
問題はやはりいつもの著作権。
近く開催されるWWDC 2013では期待薄だろうとは思いますが、発表に要注目ですね。