単行本が3巻以上発売されている(1年以上連載が継続している)マンガの中から、特にオススメしたい10作品をご紹介。
まとめ買いもしやすい巻数の作品が多いので、正月休みのお供などにぜひ一読していただきたい傑作揃いです。
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文壇ネタ、と言って良いものかどうか。
主人公はタイトルからもわかる通り「月に吠える」の萩原 朔太郎。
登場する詩人は実在した高名な詩人たち。
彼らが抱える純真と狂気だけをデフォルメしたような異質で形作られた、狂騒としか形容しがたい物語。
- 何と云つても私は君を愛する。さうして室生君を。それは何と云つても素直な優しい愛だ。いつまでもそれは永続するもので、いつでも同じ温かさを保つてゆかれる愛だ。
しかし、そう。
この作品には狂気と同じだけの愛もまた、様々な形で描かれてもいるのです。
空海と最澄。
同時代に生まれたふたりの天才を描いた物語ですが「月に吠えらんねえ」が妄想の狂気だとすれば、この「阿・吽」は時代性故に生じる狂気を強く感じる作品です。
現代であればあり得ないような社会だとしても、だからこそ生まれた天才たちであり、だからこそ至れた覚悟なのかもしれません。
空海や最澄を題材とした物語は多種多様にありますが、この作品は様々な史実や伝記を絶妙に融合して独自の展開を見せてくれるので、単なる人物伝以上の広がりと深みを感じられる良書でもあります。
在原業平と菅原道真という日本史上でも有名なふたりが主人公を務めるクライムサスペンス。
理解の及ばぬ現象を「鬼」と呼び畏れた平安時代(平安京)を舞台として、菅原道真が知識と推理で「鬼などいない」と解決していきます。
もちろんもっとも複雑な人間関係を築いていた藤原氏や伴氏などの貴族間の争いも描いているので、歴史作品としての面白さも味わうことができます。
菅原道真とくればもちろん藤原時平も登場しますし、そうなると最期こそがクライムサスペンスのクライマックスになるのだろうか!と今から期待が高まってしょうがない作品です。
読みやすくカジュアルな雰囲気を感じますが、時代考証などもしっかりとされた骨太なストーリーとの絶妙なバランスで飽きることなく読める作品です。
過去にあった何かを隠して生活しているひとりの浪人と、家に帰ることも少ない父親とくらす幼い少女の物語。
江戸時代を舞台とした作品らしく、人の優しさと悲しさを存分に味わえるマンガです。
ストーリーの展開や登場人物は江戸の町人劇として定番の構成とも言えますが、だからこそ安心することもできますし、作者の上手さも素直に楽しむことができる作品になっています。
人の素直な表情が描かれている、とても切なく優しい物語です。
恋愛をテーマにした少女マンガはどうしても苦手なのですが、この「長閑(のどか)の庭」の主人公である大学院生の女性は「恋ってなにかしら?」ではなく「恋の定義とは」と64歳の教授相手に思索に耽りぐるぐる模索するという、何とも毒気の抜けきった恋愛マンガ。
それでも主人公の女性が抱える不安や悩みなどは丁寧に描かれているので、恋愛一辺倒のマンガにありがちな薄さもないので、ストーリー性の高い作品を好む方でも楽しめると思います。
突飛な展開もなければハデな演出もなく、多少の横やりなどはあっても淡々と続けられる情景描写が読みやすく、続きがとても気なる稀有な恋愛マンガになっています。
物語を構成するのに重要な心理描写や場面描写がうまく、作品へこれでもかと没入させられてしまう傑作のひとつです。
大衆娯楽である「落語」に身命を賭す登場人物たち。
噺家が舞台にあがるその姿に、その1コマの絵に、深く苦しい切なさすら感じさせる表情がチラと描きこまれていて、しかしひとたび舞台へ上がればそこでは「噺家」としての顔になる。
登場するキャラクターたちの人生が、一瞬の表情として書き込まれているのです。
作中人物への思い入れを深くもつことを楽しみたい方に、ぜひ読んでいただきたい作品です。
ゆうきまさみと言えば少年マンガ、それも少年サンデーの看板でもある作家ですが、とにかくマンガが上手いなあと唸りながら読んでしまう作品です。
吸血鬼を彷彿させる「オキナガ」という存在と、この作品の中心となる「羊殺し」というキーワード。
このふたつに関する謎や伏線がそれとなく散りばめられ、それをフワっと包んで隠してしまうのが、ゆうきまさみが得意とするちょっとだけの非日常感とよくある日常の絶妙なバランスで繰り広げられるコミカルな展開。
新刊が出るたびに改めてまとめ読みすると、いままで気付けなかった謎や伏線を見つけることができて、本当に「ちくしょう、なんて上手いんだ!」と楽しくなってしょうがない作品です。
皆川亮二という作家が作る作品は、少年マンガの王道であり、教科書だと思うのです。
悪く言えばベタな展開ですが、それだけにストーリーと絵が抜群に上手くなければ面白くならない。
皆川亮二もまた、とんでもなくマンガの上手い作家だからこそベタな設定でも極上のマンガを作り出せるのです。
世界一の強さを誇るガンマン。
そのガンマンを倒すため追いかける天才ガンマンは実の弟。
弟と共に旅をするのは、相棒を兄に殺された賭博士。
そしてこの物語で最大の謎を自身の背中に彫り込まれてしまった少女。
なんてベタな!
でも、これが本当に面白いので、ベタな少年マンガを読みたい方にはオススメです。
ちょっと生意気で世間知らずのお嬢様が家を離れ、自分で働き、自分で考え、他人を知り、他人との関わりを学ぶ。
そんな少女が主人公ですから、イライラしたりハラハラしたり、あまり感情移入しすぎると読んでいて疲れてしまうかもしれませんが、
ひとりの少女が成長していく様をすこし離れて見守っていると思えば、それもしょうがないよなと苦笑いしちゃうような作品です。
絵が緻密で高密度ですが、時代考証や舞台設定など、細かい部分を考えすぎると読みにくくなってしまう作品です。
常識や既成概念にとらわれず、直観と感性だけで生きているかのような少女と同じように、目に映るがままの世界観を受け入れ楽しむ。
そんな作品です。
ボクは本当に声を大にして言いたい。
この作品は、もっともっと評価され、もっともっと多くの人に読まれるべき作品です。
海賊として有名な北方民族「ヴァイキング」を題材にした作品で、幸村誠の卓越した画力と、きわめてしっかりとした時代考証などに下支えされた舞台設定はストーリーに太さと深さを与えていて、叙事詩(サーガ)をタイトルに冠するのも頷けるほどの雄大なスケールを楽しむことができます。
そしてもっともすばらしいのは、この作品は暴力ではなく平和こそが主題であること。
もちろん物語の最初は暴力の連続であり、父を殺された主人公もまた仇を殺すことだけを考えるような少年でした。
しかし年齢を重ね、様々なことを見て、感じて、考えて、殺しあう以外の道を探し、見つけ、目指すようになります。
その変遷、それは成長でもあるのでしょうが、その描写は鳥肌がたつほどに完璧です。
これほどの作品、マンガが好きであれば読まないのはもったいない!
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