MacOS X 10.9 Marvericks以降、NASとの接続にプロトコルを指定しない場合、AFPよりSMB2が優先使用されるようになりましたが、Time MachineについてはMac OS X 10.12 SierraからSMB接続での利用が可能になったそうです。
それまでTime MachineはAFP接続がセオリーでしたが、SMBでも利用可能になったからには何かしらの理由があるはずです。
そこでAppleのサポートページを確認してみました。
バックアップディスクがネットワーク上にある場合は、ネットワークサーバが SMB(Server Message Block)ファイル共有を使用できます。「Time Machine」を設定する際は、Mac が SMB サーバに接続されている必要があります。
引用:macOS Sierra: Time Machine に使用できるディスク
SMB接続での利用が可能になった、ではなくてSierraでのTime MachineにはSMBを利用しろ、と言うことですか。
サヨナラAFPするのは不安も拭えないのがAppleのクオリティですが、とりあえず従うのが適切なのでSMB環境を考えてみることにします。
Sierraインストール直後の状態でNASへの読み書きを速度計測した結果が上記です。
MacBook Proと無線アクセスポイントは802.11ac(650Mbps)で接続され、無線アクセスポイントとNASは1Gbpsの有線接続になっています。
SMBはNASでSMB1、SMB2、SMB3と接続可能なプロトコルを制限し、MacBook Proもsmb_negで接続に使うSMBプロトコルを限定しています。
テストの結果は接続プロトコルに関わらず最速でも65Mbps(8MB/s)程度の転送速度になっています。
また、速度はバラつきが目立ち、安定した速度での転送も難しい状態でした。
AFPも遅いのが解せませんが、後述のテスト結果と比較すると回線が遅いわけではないので、SierraでAFPを利用するメリットはかなり少ないのかもしれません。
SMB2とSMB3での読み書きが遅い場合の対処方法として、設定で読み書き処理の一部を簡略化して読み書きのスピードを速くすることが可能です。
それがSMB署名(パケット署名)の停止です。
クライアントとサーバが安全なネットワーク上にある場合は、パケット署名を無効にすることができます。
SMB 2 や SMB 3 接続を使う時は、パケット署名はデフォルトで有効になります。以下に該当する場合は、パケット署名を無効にすることを検討してください。
他社サーバに接続するとパフォーマンスが低下する。
パケット署名に対応していないサーバに接続できない。
他社デバイスを macOS SMB サーバに接続できない。
引用:SMB 2 や SMB 3 接続でパケット署名を無効にする
署名を無効にするにはターミナルからコマンドを実行します。
cat /etc/nsmb.conf
最初に設定ファイルがすでに存在しているか、設定しようとしてる内容が記述されていないかを確認します
cat: /etc/nsmb.conf: No such file or directory と表示された場合、設定ファイルは存在していません。
ファイルが存在する場合、上記コマンドで表示された中に『 signing_required=no 』が記述されているか確認します。
sudo -s echo "[default]" >> /etc/nsmb.conf echo "signing_required=no" >> /etc/nsmb.conf
ファイルが存在しない、もしくは『 signing_required=no 』の記述がない場合は上記コマンドで設定情報を追記します。
設定が完了したら、すべてのマウントを解除してからMacを再起動してください。
2〜5倍の速度へと劇的に改善しました。
Wi-Fiの転送レートが650Mbpsで維持された状態で、最速で353.84Mbpsの転送速度ですから十分立派です。
Time MachineもSMB接続で利用が可能となり、Wi-Fiであっても十分な転送速度が実現可能なので、特にVMware Fusionなどを含めたWindowsを併用している環境では、AFPとSMBの混在は解消して、SMBだけを利用するようにして問題なさそうです。
MacOS X 10.11以前のOSでTime Machineを利用している場合は、従来通りにAFPで接続したほうが良いです。
今回の速度計測はWi-Fi環境を可能な限り最適化した中で実施しています。
複数台のMacでの同時接続や、電波を発信する機器の同時利用などで、通信速度は大幅に減衰します。
Wi-Fi環境によって転送速度の上限は変化するので、NASからの読み書きが遅いと感じた場合は、まず最初にWi-Fi速度の改善を行うのが効果的です。
その次に、NASとMacの環境設定を調整してください。
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