crocodile notebook

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ISO感度409,600という、いままでのカメラと比較すると尋常ではない高感度デジカメです。
でも、実際に40万というISOが必要になるかと言えばそんなわけもなく。
暗所性能がどれほどすごくても、撮影したい場面に不要な能力であれば無駄な投資ですよね。

α7Sを購入して強く感じたのは、兄弟機にあたる『α7』がとても完成度の高いカメラだということ。
日常的な場面での撮影であれば、α7で十分ですし、α7を買って不足を感じることも少ないと思います。
ただ、その「日常的な場面」というのは従来のカメラで考えた場合の日常。
α7Sはいままでのカメラに対する常識を捨ててこそ使いこなせるカメラかもしれません。

DSC04901

買ったばかりのカメラだからと、近所を散歩するついでに持ち出して撮影してみました。
レンズはSONY Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA。

まだ説明書も読んでいないので最初はすべてをカメラ任せに。
その後、わりとどうとでも撮れそうだったのでF5.6、1/40秒に固定。
オートフォーカス任せで微調整も行わず、ホワイトバランスも自動で、書き出しは最高画質のJPEGで保存。
ほぼすべてをカメラ任せで撮影してみました。
(写真をクリックで拡大します)

DSC04897

とにかく驚いたのが、1/40秒 F5.8なんて設定で、22時台の屋外を撮影できるということ。
しかも手持ちでの撮影です。
この設定で気楽に撮影できるというのが、従来のカメラ的な常識からすると気持ち悪い……。

DSC04898

撮影してからカメラの設定を確認してみましたが、ノイズ除去の機能はオフになっていました。
ISO12,800でノイズを除去しなくても、黒が黒として発色している気持ち悪さ。
街灯の後ろにある建物から薄く漏れる明かりも、ちゃんと再現している気持ち悪さ。

DSC04899

木が影となって産む濃い黒と、夜空の淡い黒のコントラストすらも手持ちで撮影できる気持ち悪さ。
何も考えずにシャッター押しただけで見たままの夜が写る気持ち悪さ。
  
形ばかりでも20年以上は写真で遊んでる身なので、カメラに対しての常識が身にこびりついてるボクなわけです。
このカメラはボクが20年以上かけて身に焼き付けた常識を、シャッターを押すたびいちいち壊しにくるのです。
 
DSC04908
 
朝ご飯を買いに行く途中で日中の撮影も試してみたり。
今回もF5.8は変えず、ISO100近くになるようシャッタースピードを調整した結果、ISO160、1/640秒で撮影。
普通に撮れます。
当たり前だけど。
朝でも夜でも、気構えることなく手持ち撮影が可能なカメラ。
 
 
写真は撮ることがいちばん大事。
ならば、撮りたいと思うものを、すなおに撮れるカメラがいちばん良いカメラかもしれません。
目の前にあるものを写すことができるカメラ。
明るさに縛られず、撮りたいと感じたままに撮ることのできるカメラ。

α7より9〜10万円も高いα7Sは、たぶんほとんどの方には値段相応の価値を感じられないカメラだと思います。
ISO12,800なんて必要とする場面はなかなかないですから。
22時台に写真を撮って歩くようなこと、年に何回もしない方であればまったく不要なカメラです。
同じ予算であれば、α7Sを買うよりもα7とレンズの2本でも買った方が充実した写真生活を送ることができます。

だけど。
もしなにかひとつでも。
α7Sと他のカメラを比較検討する要素を見つけてしまった人であれば。
フィルムとは違う、デジタルだからこそ示される『次の常識』に触れてみたいと感じるならば。
ボクは『α7Sは買うに値するカメラです』と強く言うでしょう。

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『SONY α7S』はボクが20有余年をかけて身につけた常識を壊す怖いカメラでした。

UPDATE: 2014.08.18
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