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本家『このマンガがスゴイ』とは若干主旨を変えて。
原則、今年『第1巻』が発売されたコミックに限定しています。
そのため、連載開始は前年の作品も含まれるかもしれません。

聲の形 – 大今 良時 / 週刊少年マガジン連載

少年誌からは『聲の形(試し読み)』をオススメ。
少年マガジンという雑誌本来の読者層からすると、まさに作中世代と同じと思います。
障害といじめが含まれる作品ですが、それだけがテーマと読まないで欲しい。

作中の状況に近いものは、多くの人が目にしたり、もしかしたら加わっていたかもしれません。
それだけに、導入部分のいさかいには、読んでいて心がざわざわする部分が多々あります。
しかしそれらはあくまで導入部分であり、この物語の本質ではないと思います。

もしこの作品が気になるのであれば、数巻は読み続けて欲しいです。
もしくは、ある程度まとまってから読んでみてください。

聲の形(1) (少年マガジンコミックス)
大今 良時
講談社 (2013-11-15)

高台家の人々 – 森本 梢子 / 月刊YOU連載(マーガレットコミックス)

少女誌からは『高台家の人々(試し読み)』をオススメ。
ラブコメディとカテゴライズされてる作品ですが、恋愛系シュールギャグとでも括りたいほど。
主人公のOLと、全社中女子あこがれのイケメンエリート社員(と、その妹弟)
4人が繰り広げる妄想と超常の日常ドラマ。

形としては主人公OLの常軌を逸した妄想と、それがツボってる高台家の人々を描いたヒューマンドラマ。
しかしこの妄想がちょっと電車の中で読むのがツラいほどに笑えるのです。
マンガのテンポとしては比較的ゆっくりとしてるのに、それを無視した妄想ギャグ。
だけどなにか身に覚えのあるような妄想だったりもして、その親近感もちょっと腹筋に。

とてもあっさり読めるのにガッツリ笑える作品なので、日々のストレス発散にも最適かも。
これで物足りない人は『ふうらい姉妹』を読め!

イノサン – 坂本 眞一 / 週刊ヤングジャンプ連載

青年誌からはヤンジャン連載の『イノサン(試し読み)』をオススメ。
『孤高の人』を描いた坂本 眞一の新連載。

明るいとか、愉快とか、壮快とか、そうした陽の気配はまったくないマンガです。
むしろ、陰湿で、傲慢で、空虚。
現実と理想のギャップに苦しみながらも、慈悲と愛で人々を殺し救済した男のドラマ。

舞台は18世紀のフランス。
現代、それも今の日本とは価値観も倫理観もまったく異なる社会。
それなのに、そこに描かれる人々は現代人にも似た心性を感じてしまうのです。
マンガとして、どの程度までデフォルメしているのかもわからないほどのリアリティ。

高い画力だからこそ描ける恐ろしさや不気味さ、そしてわずかな優しさに押しつぶされそうになります。

イノサン 1 (ヤングジャンプコミックス)
坂本 眞一
集英社 (2013-06-19)
イノサン 2 (ヤングジャンプコミックス)
坂本 眞一
集英社 (2013-09-19)

ヘビ女はじめました – 高橋 葉介 / メディアファクトリー

『幽』という怪談専門誌をご存知でしょうか。
この専門誌で約10年にわたって掲載された短編19本をまとめた単行本。
それがホラー部門としてオススメする『ヘビ女はじめました』です。

高橋葉介のマンガは変幻自在。
10ページに満たない中であっても、コミカルであったり、怪奇的であったり、シュールであったり。
ホラーというベースを様々なスタイルで描いてみせるその力量はすさまじいです。

絵の雰囲気と、ホラーというジャンルと。
苦手な人はまったく受け付けられない作品でもありますが、機会あればいちど読んでみて欲しいです。

ヘビ女はじめました (幽COMICS)
高橋葉介
メディアファクトリー

ひきだしにテラリウム – 九井 諒子 / Web文芸誌マトグロッソ

ここ数年ではいちばん好きな作家かもしれない九井 諒子。
その人の短編集をまとめた単行本『ひきだしにテラリウム(試し読み)』が短編集部門のオススメです。

竜の学校は山の上』『竜のかわいい七つの子』という2冊でも高評価を得ているのでご存知の方も多いはず。
そしてこの『ひきだしにテラリウム』も当然に高い評価を得ています。

社会風刺や皮肉を含んだブラックユーモアもありますが、基本はギャグストーリー。
爆笑するような作風ではないけど、『読む』ことで『わからせる』笑いがあります。
笑いには、優しさや矛盾や愛情や悲しさが含まれていると思います。
そうした複雑な感情こそ人間味であり、それを笑いに昇華させたのが落語だと思います。
九井 諒子の作品には、まるで落語を聴いてるときのような笑いを感じられるのです。

とても濃厚でありながら、読後にまで残るような後味の悪さもない。
マンガというエンターテインメントの王道にあるようなマンガだと思います。

ひきだしにテラリウム
ひきだしにテラリウム
posted with amazlet at 13.12.12
九井諒子
イースト・プレス

續 さすらいエマノン – 梶尾真治/鶴田謙二 / 月刊コミックRYU

ストーリー部門としては『エマノン(試し読み)』シリーズから最新刊をオススメ。
厳密には大昔から続くシリーズ物ですが、エマノンに限っては各巻が独立していると思って良いのです!

鶴田謙二の描く女性は、男が思い描く理想の女性像のひとつかもしれない。
このマンガと対極にある『少女性』についての至高は『ジゼル・アラン』を推挙しておきます。

原作小説から抜粋されたエピソードをコミカライズするのが基本スタイル。
そのため、説明的なセリフは極力排されていて、セリフがまったくないページも珍しくない。
しかし原作を知らなくても、絵の1枚がとても多くの感情を発しているのです。

そこに描かれているのは、日本人が持っていた慎ましさや奥ゆかしさなのかもしれない。

續 さすらいエマノン (リュウコミックス)
鶴田 謙二 梶尾 真治
徳間書店 (2013-11-30)
さすらいエマノン(リュウコミックス)
梶尾 真治 鶴田 謙二
徳間書店 (2012-04-03)

ギャグにもほどがある – 上野顕太郎 / ビームコミックス

ギャグ部門としてのオススメはウエケンです。
そもそもウエケンの新刊が出ていて、他の作品をオススメする気にはなれないボクです。
だってタイトルからして『ギャグにもほどがある(試し読み)』ですから。
月刊コミックビームに『夜は千の眼を持つ』のタイトルで連載されていたものをまとめた単行本になります。

とくにいろんなマンガを読んでる人にこそ楽しめる作品だと思います。
日本中を甘酸っぱい感動で包み込んだマンガも『コノハシワタルベカラズ』
あの名女優だって『モエツキチマッタヨ』
しょーもないギャグなんだけど小さく細かくチクチクチクチクと笑いのツボを刺激してきます。

とりあえず試し読みを堪能して!

ギャグにもほどがある (ビームコミックス)
上野顕太郎
エンターブレイン

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UPDATE: 2013.12.12
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